中村宏

4分の1について
2020年10月19日(水)−10月31日(土) 日曜休廊

中村宏
《4分の1について》
アクリル、キャンバス
65.2×53.0cm 3点組
2020年

このたびギャラリー58では「中村宏 4分の1について」を開催します。中村は1950年代、社会的事件を題材にした「ルポルタージュ絵画」で注目を集め、戦後日本社会の世相や社会状況を鋭く映し出した制作活動が高く評価されています。自らを「絵画者」と名乗り、タブロー主義を貫く中村は「モンタージュ絵画」「観念絵画」など、独自の方法論によってタブローを理論化し、新たな絵画表現を切り開いてきました。

本展では、新作「4分の1について」とドローイングを発表します。「4分の1について」とは、作家ができることは4分の1までで、残りの4分の3は鑑賞者の感性や想像力に委ねられ、そして絵画は完成する、という意味も含まれています。陰影法や遠近法、色彩論などの古典的な絵画技法そのものをモチーフとして組み込み、“技法のモンタージュ”を試みます。新作とあわせて、1960~70年代のドローイングと版画も展示します。

《樹下美人》
水彩、紙
33.3×24.5cm
1978年

プロフィール
1932年静岡県浜松市生まれ。日本大学芸術学部美術学科に学ぶ。

ギャラリー58での展覧会
[個展]
2011年 「中村宏 1960-80年代」
2013年 「消失点・中村宏」
2015年 「一点消失・中村宏」
2018年 「中村宏 質感と角度」
2020年「中村宏 4分の1について」
[グループ展]
2010年 「前衛★R70展 -70歳未満出品不可・完全最新作-」
2012年 「自画像★2012 -9人の美術家による新作自画像と小品展−」
2014~2023年 「Square展 [30×30cmの正方形展]」

主な展覧会
1953年 「第1回ニッポン展」東京都美術館 以後第7回展まで出品
1954年 「第7回日本アンデパンダン展」東京都美術館 以後第14回展まで出品
1960年 「超現実絵画の展開」東京国立近代美術館
1970年 「第1回齣展」東京都美術館 以後現在まで毎年出品
1974年 「日本-伝統と現代 〔Japan:Tradition und Gegenwart〕」デュッセルドルフ市立美術館、ドイツ
1981年 「現代美術の動向Ⅰ・1950年代-その暗黒と光芒」東京都美術館
1985年 「再構成・日本の前衛芸術 1945-65」オックスフォード近代美術館、イギリス ほか
1986年 「前衛芸術の日本 1910-70 [Japon des Avant Gardes 1910-70] 」ポンピドゥ・センター、パリ
1988年 「日本のルポルタージュ・アート-絵描きがとらえたシャッター・チャンス」板橋区立美術館
1991年 「芸術と日常-反芸術/汎芸術」国立国際美術館
1997年 「ねりまの美術 ’97 池田龍雄・中村宏」練馬区立美術館
1998年 「戦後日本のリアリズム 1945-1960」名古屋市美術館
2002年 「20世紀。美術は虚像を認知した」平塚市美術館
2007年 「中村宏|図画事件 1953-2007」東京都現代美術館/名古屋市美術館
2010年 「タブロオ・マシン [図画機械] 中村宏の絵画と模型」練馬区立美術館
2012年 「美術にぶるっ SECTION2 実験場 1950s」 東京国立近代美術館
2012年 「TOKYO 1955-1970 A NEW AVANT GARDE」ニューヨーク近代美術館
2013年 「六本木クロッシング2013 アウト・オブ・ダウト展」森美術館
2014年 「われわれは<リアル>である 1920-1950s」武蔵野市立吉祥寺美術館
2015年 「絵画者 中村宏」浜松市美術館
2016年 「美術は語られる-評論家・中原佑介の眼-」DIC川村記念美術館
2017年 「絵画は告発する/特別展示 板橋の日本画」板橋区立美術館
2018年 「アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる1960-1990年代」東京国立近代美術館
2019年 「百年の編み手たち」東京都現代美術館
2020年「パラレルヒストリーズ 現代アートの諸潮流」静岡県立美術館
2021年「絵を描く、絵に描く、画家たちのキセキ 8つの意思」練馬区立美術館
2022年「鉄道と美術の150年」東京ステーションギャラリー

主な作品集・著書
『中村宏○画集 望遠鏡からの告示』現代思潮社、1968年
『機械学宣言 地を匍う飛行機と飛行する蒸気機關車』(稲垣足穂との共著)仮面社、1970年
『機甲本イカルス』(稲垣足穂との共著)呪物研究所、1973年
『呪物記』大和書房、1973年
『中村宏作品集★車窓篇』深夜叢書社、1980年
『中村宏画集 1953-1994 タブロオ機械』美術出版社、1995年
『図画蜂起 1955-2000』美術出版社、2000年
『絵画者 1957-2002』美術出版社、2003年
『応答せよ!絵画者 中村宏インタビュー』白順社、2021年

パブリック・コレクション
東京国立近代美術館、国立国際美術館、東京都現代美術館、練馬区立美術館、板橋区立美術館、浜松市美術館、宮城県美術館、栃木県立美術館、徳島県立近代美術館、愛知県美術館、名古屋市美術館、高松市美術館、横浜美術館、刈谷市美術館、千葉市美術館、いわき市立美術館、青森県立美術館、郡山市立美術館、豊橋市美術博物館、うらわ美術館、東京ステーションギャラリー ほか


2018年の個展
2015年の個展
2013年の個展
2011年の個展
2010年 前衛★R70
2012年 自画像★2012