『秋山祐徳太子の母』 出版記念展
2015年7月1日(水)−7月18日(土) 日曜休廊
このたびギャラリー58では、秋山祐徳太子の書き下ろし自伝的長編エッセイ『秋山祐徳太子の母』が刊行されるのを記念して、出版記念展を開催いたします。秋山はブリキ彫刻、2度にわたる東京都知事選立候補、「ダリコをはじめとする数々のパフォーマンス、写真グループ「ライカ同盟」等、幅広い活動で知られていますが、本展では“文筆家・秋山祐徳太子”の魅力をご紹介いたします。これまでの文筆活動や、『秋山祐徳太子の母』の世界を紹介するほか、ブリキ彫刻・ブリキ絵画などの新作を展示いたします。また、写真家・石内都が、秋山祐徳太子の母・千代の遺品を撮影した新作「a.chiyo」シリーズもご覧いただきます。会場では『秋山祐徳太子の母』サイン本の販売もおこないます。
『秋山祐徳太子の母』
著者:秋山祐徳太子
発行:新潮社
発売日:2015年6月30日
判型:四六判
頁数:224ページ
価格:1,944円(税込)
ISBN978-4-10-339321-4 C0095
1936年、秋山祐徳太子1歳のとき、父(39歳)と兄(6歳)が結核で病死し、母一人子一人の母子家庭が始まる。美大受験も、貧乏芸術家に専心する覚悟で会社を辞めるのも、数々のパフォーマンスも、2度の東京都知事選立候補の時も、息子を見守り、励まし、むしろそそのかし、おまえらしく堂々と生きなと背中を押して、90歳過ぎても60になった倅の食事を毎日せっせと作り、生粋の江戸っ子で人情厚く、無類の面白がり屋だった母・秋山千代は、最期の瞬間まで「秋山祐徳太子の母」であり続けようとした。戦前から平成まで60年におよんだ、史上最強の母子家庭の物語。
秋山祐徳太子 AKIYAMA Yutokutaishi
1935年東京・日暮里生まれ。1960年武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)彫刻科卒業。 グリコのランナー・スタイルで走る「ダリコ」をはじめ、ポップ・ハプニングと称する数々のパフォーマンスを展開。1970年代よりブリキによる彫刻作品を発表。1975年と79年の2度にわたって、政治のポップ・アート化を目指して東京都知事選挙に立候補 する。1992年、赤瀬川原平・高梨豊と写真グループ「ライカ同盟」結成。1994年「秋山祐徳太子の世界展」(池田20世紀美術館)。2011-12年「秋山祐徳太子+しりあがり寿 ブリキの方舟」(広島市現代美術館)。著書に、『通俗的芸術論』(土曜美術社)、『泡沫桀人列伝』(二玄社)、『ブリキ男』(晶文社)、『恥の美学』(芸術新聞社)、『天然老人』 (アスキー新書)、共著に 『ポップコン宣言-偽りの戦後史を書き替える』(西部邁との 対談・光文社)、『酔眼朦朧湯煙句集』(酔眼朦朧湯煙句会)。
秋山千代 AKIYAMA Chiyo
1905年東京・芝生まれ。31歳のとき夫、長男と続いて死別。その後、東京・新富町にお汁粉屋「千代」を開き、東京大空襲、戦後の混乱期を生きのびて、女手一つで残された次男を育てる。料理が好きで、初めて台所に立ったのは5歳のとき。他界する前年の1996年、小林カツ代との共著『カツ代が聞く、九十一歳現役台所』を出版。
写真家・石内都が、秋山千代の遺品を撮影した新作《a.chiyo》シリーズを展示いたします。
石内都 ISHIUCHI Miyako
1947年群馬県生まれ。「絶唱、横須賀ストーリー」、「APARTMENT」、「連夜の街」で街や建物を被写体に記憶や時間を とらえ、自分と同じ年に生まれた女性の手足を撮った「1・9・4・7」、身体に残る傷跡の「SCARS」、「INNOCENCE」などを発表。’05年、第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本代表となり、母親の遺品を撮影した「マザーズ 2000-2005 未来の刻印」を 発表。’07年から広島平和記念資料館に収蔵された被爆者の遺品の撮影を始め、日本各地およびカナダで個展「ひろしま」を開催。’13年、画家フリーダ・カーロの遺品を撮影した「Frida by Ishiuchi」を発表。’15年10月にポール・ゲッティミュージ アム(ロサンゼルス)で個展。
’79年第4回木村伊兵衛写真賞、’99年第15回東川賞国内作家賞、’06年日本写真協会賞作家賞、’09年第50回毎日 芸術賞、’11年第60回神奈川文化賞、’13年紫綬褒章、2014年度ハッセルブラッド国際写真賞受賞。東京国立近代美術館、東京都写真美術館、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ヨーロッパ写真館など多くの美術館で作品が収蔵されている。