Fever! Akiyama 秋山祐徳太子回顧展
2020年12月4日(金)−12月26日(土) 日曜休廊
ブロンズでも大理石でもなく、ごく庶民的なブリキという卑金属を用いて生み出された男爵や皇帝、将軍、仏像といった作品の数々。「私の人生は、安価な素材で芸術の高みに挑戦していくことにつきる」と語った秋山祐徳太子のブリキ彫刻は、品格をたたえつつも愛嬌があり、哀愁さえ感じさせます。おなじみグリコのランナー姿で駆け抜ける「ダリコ」に代表されるポップ・ハプニング、政治をポップ・アート化した東京都知事選立候補、写真グループ「ライカ同盟」での写真家としての真摯な姿、軽やかに綴られたコラムやエッセイなど、諧謔を含んだ多彩な表現活動は多くの人を魅了してきました。
本展では、ブリキ彫刻、絵画、ドローイング、版画、愛用のはんだごてや絵筆、パフォーマンスの記録、東京都知事選のポスターと関連資料、書簡、生原稿、新たに発見された写真ほか、200点を超える作品と資料を年代順にご紹介いたします。一見破天荒に見えて実は生真面目な恥ずかしがり屋、義理人情に厚く真っ直ぐな江戸っ子で、高潔な泡沫精神を胸に秘め、人生をポップに駆け抜けた秋山祐徳太子の作品と85年の生涯を振り返ります。展覧会タイトルの「Fever! Akiyama」は、1979年の東京都知事選ポスターのキャッチコピー。秋山祐徳太子のFever―熱気に満ちたポップな世界をお楽しみください。
秋山祐徳太子 AKIYAMA Yutokutaishi
1935年東京・日暮里生まれ。本名は秋山祐徳(すけのり)。1960年、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)彫刻科卒業。工業デザイナーとして大手電機メーカーに勤務。グリコのランナー姿で走る「ダリコ」をはじめ、ポップ・ハプニングと称する数々のパフォーマンスを展開。1973年初個展。以降、ブリキによる彫刻作品を発表。1975年と79年の2度にわたり、政治のポップ・アート化を目指して東京都知事選に立候補。1992年、赤瀬川原平・高梨豊と写真グループ「ライカ同盟」結成。1994年「秋山祐徳太子の世界展」(池田20世紀美術館)。2011-12年「秋山祐徳太子+しりあがり寿 ブリキの方舟」(広島市現代美術館)。著書に『泡沫桀人列伝』(二玄社)、『ブリキ男』(晶文社)、『恥の美学』(芸術新聞社)、『秋山祐徳太子の母』(新潮社)ほか。2020年4月3日、85歳で逝去。
朝日新聞2020年12月15日(火)夕刊
https://www.asahi.com/articles/DA3S14731918.html
毎日新聞 2020年12月16日(水)夕刊
https://mainichi.jp/articles/20201216/dde/014/040/003000c
読売新聞 2020年12月12日(土)朝刊