吉野辰海

YOSHINO Tatsumi
2013年5月20日(月)−6月1日(土) 日曜休廊

左:《SCREW 象少女-骨かんざし(立)》FRP、油彩  187.5×59×71cm
右:《SCREW 象少女-骨かんざし(かがみ)》FRP、油彩 125×59×58cm

このたびギャラリー58では吉野辰海展を開催いたします。吉野辰海は1940年宮城県生まれ。1960年、前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」のメンバーとして活動。1970年代末より、犬をモチーフとした立体作品を主軸に展開しています。犬たちは、生命体全般のシンボリックな記号として、ときにユーモラスに、また悲哀に満ちた表情で、さまざまな姿に変貌していきますが、その作品の根底には、万物の永久運動を暗示する螺旋運動(SCREW)が内在しています。

2009年からは、犬と少女と象が一体化した「象少女」シリーズを発表。犬と、未成熟であるがゆえに不可思議な生命力を秘めた少女と、宗教的な聖性も漂わせる象が一体となった「象少女」は、エロスや生、死などを内包し、見る角度によって様々に変化してゆきます。このたびの新作展では、より極彩色に彩られた象に、むき出しの骨となった犬が一体化した高さ180センチの「象少女」を中心に、立体作品10点とドローイング10点を展示いたします。

これまでの制作において重要なテーマのひとつに「水」があります。吉野にとって水と女性は「生命」や「再生」の象徴であり、作品の中に登場してきた女性がしゃがんで放尿しているような造形は、「集積した水で惑星を満たしていくような」循環と生成の有機的なイメージであるといいます。今回新たに登場する象少女は、内部のエーテルが膨張しカオスが冷却された「水」が女性の体を潤して、下部(排泄器)から循環し、生命や次なる時間を生み出していく装置であるといえます。

左《SCREW 象少女-骨かんざし(かがみ)》
FRP、油彩 24×13.5×13.2cm 2013年
右《SCREW 象少女-骨かんざし(立-1)》

FRP、油彩 33.7×13.5×13.5cm 2013年
左《SCREW 骨かつぎ1》FRP、油彩 15.1×10×13.5cm 2013年
右《SCREW 骨かつぎ2》FRP、油彩 16.1×7.3×13.5cm 2013年

吉野辰海 YOSHINO Tatsumi
1940年 宮城県生まれ
1959年 武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)油絵科入学
1960年 ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズのメンバーとして活動 

主な個展
1964年 「MONO-KUISHOW」内科画廊(東京)
1966、68年 「INTERIOR」村松画廊(東京)
1986、87、88年 「Screw-らせん」 画廊春秋(東京)
1990、91、93、95、97、99、02、05、07、09年 東邦画廊(東京)
1992年 佐野画廊および佐野埠頭ギャラリー(香川)
1994年 「吉野辰海展(1994の犬)」ギャラリー新居(大阪)
1999年 中京大学アートギャラリー C・スクエア(愛知)
2001、09年 ギャラリーとわーる(福岡)
2009、11年 ギャラリー58(東京)
2011年 E&Cギャラリー(福井)
2012年 「清水晃・吉野辰海 漆黒の彼方/犬の行方」埼玉県立近代美術館(埼玉)

主なグループ展
1960年 「第2回ネオ・ダダ」 吉村アトリエ(東京)/「第3回ネオ・ダダ」日比谷画廊(東京)
1961、62、63年 「読売アンデパンダン展」東京都美術館(東京)
1969年 「第9回現代日本美術展:現代美術のフロンティア」東京都美術館(東京)
1971年 「第10回現代日本美術展:人間と自然」東京都美術館(東京)
1987年 「オブジェ-逸脱する物質展」つかしんホール(兵庫)
1990年 「現代彫刻の歩み-Ⅲ」 神奈川県民ホールギャラリー(神奈川)
1991年 「芸術と日常:反芸術/汎芸術」大阪国立国際美術館(大阪)
1993年 「異形のFigure 東北の三人」展 宮城県美術館(宮城)
1996、05年 「現代美術の磁場TSUKUBA」つくば美術館(茨城)
1997年 「日本の夏1960-64」 水戸芸術館(茨城)
1998年 「ネオ・ダダJAPAN 1958-1998 -磯崎新とホワイトハウスの面々-」大分アートプラザ(大分)
2002年 「熊本市現代美術館開館記念展:アティチュード2002」熊本市現代美術館(熊本)
2003年 「アートみやぎ2003」宮城県美術館(宮城)
2004年 「4人の作家によるArt≒prophecy・予言(する力)池田龍雄・風倉匠・田部光子・吉野辰海」ギャラリーとわーる(福岡)
2005年 「第21回現代彫刻展」宇部市常盤公園(山口)
2006年 「縄文と現代~二つの時代をつなぐ 『かたち』 と 『こころ』 」青森県立美術館(青森)
2007年 「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展 森美術館(東京)
2007年 「風倉匠・田中信太郎・吉野辰海 ドローイング展」ギャラリー58(東京)
2009、11、13、15年 「ART SESSION TSUKUBA」つくば市
2009年 「Art Program OME 2009 7th 『空間の身振り』 展」青梅市(東京)
2010年 「前衛★R70展 -70歳未満出品不可・完全最新作-」ギャラリー58(東京)
2012年 「自画像★2012 −9人の美術家による新作自画像と小品展」ギャラリー58(東京)

パブリック・コレクション
宮城県美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館、大阪国立国際美術館、徳島県立近代美術館、熊本市現代美術館、大分市美術館、佐久市美術館、宇部市、大宮市、他


2012年 自画像★2012
2011年の個展
2010年 前衛★R70展
2009年の個展
2007年 ネオダダ三人展