大森 悟  Satoru Omori

   2010.5.30(mon)-6.5(sat)


  展覧会タイトル  series 花かげ 『存留』


  2008年の個展

series 花かげ 『存留』

【作家コメント】
子供の頃、残酷な遊びをしたことがある。
お玉杓子を冷蔵庫の冷凍室に入れて凍らせ、それから解凍をする。すると生き返った。
命は時を超えてとどめられると思って静かに興奮した。いや感動した。

その感動は、何時しかわがままな貪欲さを生む。
命はある景色にとけ込んでいることがある。
それごと永遠にとどめることは出来ないのかと。
この全く当たり前の欲求なのだが毎日の生に入り込んでしまい、
喪失感を埋める物としての代用品を探すような、
あるいは満たされた一日として納得する方法としての日記のような確認や仕掛けを
改めて求めているわけではない。
今回の作品は、過去と現在を再現をすることだけでなく、
同時進行で新たな過去を生み出すそれは写真表現に似ている。
しかし、現実的には、個人にとって意味を持たされた景色は
いつか解凍されて生き返ったとしても戻る場がないのである。
残酷というより、滑稽な物語の終焉は許されないのかもしれない。
つまり冷凍庫の電源は切ることが出来ないのだ。



プロフィール:
1969年 茨城県生まれ
1994年 東京芸術大学 美術学部絵画科油画専攻卒業
1994年 大橋賞 作品大学美術館買い上げ
1996年 東京藝術大学 大学院美術研究科(油画)修了
1999年 東京芸術大学 大学修後期博士課程(油画)修了
1999年 作品大学美術館買い上げ

<個展>
1997年 ベリーニの丘ギャラリー(神奈川)
2000、01、04、06、09年 コバヤシ画廊(東京)
2008年 ギャラリー58(東京)