三好 るり   Ruri Miyoshi

   2009.6.8(Mon)-6.13(Sat)



  タイトル「 瓏 rou 」 (風と音と私)
  



「夏」「凪」「春」
 パネル・テンペラ  40×40cm


【作家コメント】
 白み始めた東の空に、和らかな灰色と青色と朱色の帯が広がって、今日が始まる。
そして、目まぐるしく外界がうごめき、見知らぬ異国の惨状に目頭を熱くし、又、
無邪気な子供の笑顔に目尻を下げている。ふと気が付くと、西の空に朝のそれと違う
灰色と青色と朱色の帯を見る。夜の帳が降りても、光の乱舞は増殖し、都会の喧騒は
止むことを知らない。けれども、時おり訪れる一瞬の静寂に、心の安らぎを覚える。
-今日も一日『風』が吹き抜けた。
 この身に感じられる全てのことを色と形に変換し、表現し続けています。
まるで、泥んこの形態が色彩のシャワーを浴びて、明確な姿を現すように。
飽きることはない。尽きることはない。休むことはない。
 “瓏 rou”(風の音、鈴の音の意味)をタイトルにして、数々のシリーズを試みてまいりました。
自分の内外を吹き抜けて行く風の音を表現することは、絵日記を付けるようなものです。
美しい音色ばかりではありませんが、心中に共鳴する鈴の響きは時に陽気に、
時に荘厳に、メロディーさえも聞こえてくるようです。
小さな一滴が、やがて大きな波紋となって池いっぱいに広がっていくように心を満たしていくのです。
 一枚のキャンバスに納まるはずのない様々な出来事(色と形)を、首を傾けたり、置き換えたり、
放置したり、時にはもう一度最初のエスキースに戻ってみたりしながら制作しています。
そんな時、抽象的な形は却って作者のイメージを膨らませてくれるものです。
 こんな悪戦苦闘を楽しみに変えて、一枚の作品にしています。
画面と向かい合い、語らってみてください。
“瓏 rou”の波紋が、あなたの中に広がって行くと嬉しく思います。
  



【プロフィール】
1961年 福岡県生まれ
1981年 女子美術大学芸術学部絵画科洋画(油画)専攻卒業
1986年 九州産業大学大学院芸術学部美術研究科卒業

<個展>
1986−90年 ギャラリーとわーる(福岡)
1990年 ギャラリー獏(福岡)
2000年 福岡女性センター アミカスギャラリー(福岡)

<主なグループ展>
1982・85-07年 瑠玻展(福岡市美術館・アジア美術館他/福岡)
1987・88年 福岡市美術展 市長賞・日仏姉妹都市賞
        (福岡市美術館/福岡・ケンテミリネンン修道院美術館/フランス)
1988・89年 太平洋美術展 坂本奨励賞(福岡市美術館/福岡・東京都美術館/東京)
1989年 西日本女流美術展(長崎県立美術館/長崎)
1990-07年 福岡市美術連盟展(福岡市美術館・福岡アジア美術館他/福岡)
1998年 FACE a FACE ルフランソワ・三好るり二人展(福岡市美術館/福岡)
1999-2001年 ミレニアム展(福岡女性センター他/福岡)
2003年 日韓現代絵画国際交流展(世宗文化会館/ソウル)
2004年 ロンド美術館オープニング記念展(熊本)
2005年 福岡市美術連盟10周年記念上海展(劉海粟美術館/中国)
2007年〜 二科展(国立新美術館/東京 福岡市美術館/福岡)
       二科西人社展 奨励賞(福岡県立美術館/福岡)
2008年〜 日韓現代絵画国際交流作品展(ギャラリーとわーる/福岡)
       韓日交流展in釜山(韓国)
2009年 九州コンテンポラリーアート2009展(福岡県立美術館/福岡)